宮城明里(みやぎあかり)は沸き上がる興奮を抑えられなかった。それはきっと月のせいだろう。光の届かないこんな新月の夜には、きっとあいつが出てくる。NS学園1年5組、和良喜亜門(わらきあもん)。高校の生徒という、世間にとけこんだ立場を手に入れているドラキュラである。
横を見ると、左手に辞書を持った大柄な少年、六条文哉と、神主の姿をしている小柄な少年、滝峰新一がいる。明里のクラスメイトである彼らもまた、自分と同じように現代によみがえった吸血鬼に危険を感じ、その行動を監視する正義の少年たちである。
「今日は来ると思う?」
明里が尋ねる。
「知らないよ・・・・」
小柄な少年、滝峰新一がくたびれたような声で返事をする。さすがにここ数日の張り込みがこたえているらしい。この小柄な少年は滝峰神社の神主の息子で、悪霊を退治をするのに効果のある神主の格好をしている。そして明里は知っている。いざという時になれば、心の中の熱いマグマが煮えたぎり正義のためにあらゆる行動をするであろうことを。
「あんたは?」
「・・・・・解らない」
左手に持った辞書をぺらぺらとめくっている大柄な少年、六条文哉が関心のなさそうに答える。この闇夜の中ではページが見えるわけがないのだが、彼は常に辞書か百科事典を持っており、用のない時は眺めている。そして彼もまた、人類に害を及ぼす魑魅魍魎を前にすれば、その見事な身体をもって人類を救おうと、自らの犠牲をいとわない。
キィキィ
聞こえた、あのコウモリの声。彼が飼う悪魔の手先、二匹のコウモリの鳴き声。それを連れてこのような闇夜の山の中を歩くのは、この世に生きるドラキュラ『和良喜亜門』 彼しかいない。
「いくわよ!」
「おぉ・・・・・・・」
自らの正義を外に出す明里と違い、燃える心を強く抑えた(単純にくたびれている)二人の行動が頼もしい。
「今日こそはあいつの正体を暴いてやるわよ。」
(もうやめようよ)
後ろに続く二人の悲鳴が明里に届くことはなかった。
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『裏山物語[Another Story]』に沿った独自ストーリー
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『kei_ura99a.gif』, (1998/12/19), SIZE=[480*580], 27KB
裏山物語[Another Story]自体は、ドラキュラこと和良喜亜門くんの視点で書かれていまして、オカルト隊は脇役に過ぎません。
しかし、宮城明里の視点で書くと勘違いや思いこみが際立って面白いのではないかという思いつきから、文章まで独自に作ってしまいました。
亜門くんがかっこよすぎるという評判もあります。
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