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会員番号0110/各務 隆さんのコラム
厦門(アモイ)島通信 |
| 第壱報…「厦門」をご存知ですか? |
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みなさん、はじめまして。各務 隆(かがみ たかし)と申します。
現在、私は日本本土を離れることおよそ1200キロメートルの彼方、中国大陸からこのコラムをお送りしています。
実は私、今年の二月、思うところあって職を辞し、この地でひたすら中国語修業の生活を始めました。それから間もなく一年になろうとしています。
おかげで中国語の方は期待通り、とはいかぬものの、そこそこの成果が出つつあるのですが、日常的に日本語の文章を読み書きするチャンスが少ないせいか、いつしか肝心の日本語がひどくつたないものになってしまいました。
これは大変です。このまま日本に帰ればとんでもない生き恥をさらすことになってしまいます。
そこで、今回こちら「うぇぶマガジン・POPER」さんにありがたい知遇をいただけましたので、これをきっかけに、私自身の日本語のリハビリも兼ね、私の街、厦門島の興味深い様々な品々、また生活など紹介をさせていただこうと思います。
日本に比べ海外情報の極端に少ないこの国では、インターネットが私と祖国を結ぶ大事な絆です。大事な絆を断たぬよう、毎回少しづつにはなりますが、つれづれに文を綴っていきたいなと思っています。
さて、厦門(アモイ)という街を地図で探そうと思ったら、世界地図が必要になります。
アジア大陸のページを開き、台湾海峡を挟んで台湾島のちょうど向かい側、中国大陸の一角にその街はあります。
九龍江の河口にある直径わずか12キロの小さな島が厦門島。私の住む街です。
中国が経済改革開放政策の旗印として沿岸部に設置した5つの経済特別区のひとつで、人口は現在約120万人です。
平均気温は21度。冬でも10度以下に下がることはめったになく、そのかわり夏は大変に暑い所です。年間降水量は1100ミリあまり。それほど多くはありませんが、乾燥した中国大陸にあってはかなりの多雨地域で、年中緑の絶えることはありません。冬でも真っ赤なハイビスカスの花が咲き乱れる、常夏の亜熱帯気候に属しています。
北回帰線のすぐ近く、日本で言えば石垣島や西表島が同じぐらいの緯度にあたります。
そんな暑い南の島でも、日暮れ時には一瞬ほっとする時間がおとずれます。
私の通う厦門大学は敷地のすぐ南西側が海に面しています。
私達の住む外国人寮は大学構内の小高い丘の一番上に建っているので、近くに視界をさえぎる建物はありません。目の前180度一面に海が広がります。午後遅く屋上に登ると、水平線がまるく見え、吹いてくる海風は涼しく、昼間の刺すような陽射しに火照った体をやわらかく包み込みます。
夕暮時になると、沖で潮待ちをしている大小さまざまのコンテナ船、貨物船や漁船、サンパンと呼ばれる小舟の群れが、金色に輝く海面にくっきりとしたシルエットで浮かび上がります。
ここは夕焼けもとてもきれいです。かすかな波音とサンパンの単調なエンジン音を聞きながら、空の色がつやのあるオレンジ色から次第に深いすみれ色に変わっていくのをじっと眺めていると、一瞬自分がどこにいるのかさえ判らなくなり、体がすーっと浮かび上がっていくような、なんとも不思議な浮遊感を味わえます。
日が完全に沈むころになると、沖に浮かぶ船がポツポツとマスト灯や赤、緑の舷灯を点し始め、また対岸に浮かぶ鼓浪嶼(グーランユイ)のあかりが海面に反射して、闇に沈む厦門の海にまた別の彩りを加えます。そんな夜景をのんびりと眺めながら、地元産の冷えた銀城ビールをビンのまま飲む時の解放感は、他に比べるものが思い浮かびません。
ふと斜め下の浜に目を移すと、いつの間に用意されたのかたくさんのパラソルが並び、男女ペアの学生達がその下で何事かささやきあっているのがかすかに見て取れます。厦門の夜空は深夜でもぼんやりと明るく、星はそれほど多く見えませんが、夜が更けてもなかなか人影は絶えません。昼間の気だるさとは対照的に、まるで時間の流れ方が変わったかのように道行く人は精気に満ちあふれ、道沿いのフルーツショップは見慣れない南国の果物があふれかえり、裸電球の黄色い光の中でみずみずしさを競い合っているのです。
さて、厦門からの第一報はちょっと短めにこの辺で。ぜひ次回もご覧下さい。
では、また。
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| 次回【第弐報】へ続く |
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